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大腸内視鏡検査を希望される方へ

大腸内視鏡検査の説明と安全に検査を実施するためのガイダンスです。ぜひ検査を受ける前にお読みください。
大腸内視鏡検査をスムーズに安全確実に行うためには下剤を含めた前処置が必要です。そのため、下部消化管出血(下血)など緊急の場合をのぞき、初めて来院された日にいきなり検査を受けることはおすすめ出来ません。大腸内視鏡検査が必要な方は、検査の前にとりあえず受診していただくか、電話等で当クリニックの医師か看護師にお気軽にご相談ください。


診察および検査に関するお問い合わせはお電話で!
予約・連絡先 : やなぎ内科クリニック  TEL (076)277-6200


★大腸内視鏡検査を行う目的と必要性

 近年、食事の欧米化などにより大腸がんや炎症性腸疾患など腸の病気が増え続けています。これらの腸の病気を発見・診断し、治療するためには大腸内視鏡検査はとても有用です。特に早期の大腸がんやポリープの発見には大腸内視鏡が最も優れた検査法です。さらに病理診断ために病変粘膜の一部を採取する生検や、その場で早期の大腸がんやポリープを切除することもできます。大腸内視鏡は主に大腸を観察しますが、小腸の一部(回腸末端)や痔もみることができます。
 大腸の病気を診断する手段には内視鏡以外に、注腸検査(バリウムを使ったエックス線検査)や便潜血検査(便の中に血液が混じっていないか調べる)という方法があります。しかし、注腸検査で異常所見を認めたり、便潜血が陽性だった場合には正確な診断のために大腸内視鏡による精密検査が必要となります。また、大腸内視鏡検査には、浣腸処置のみで大腸の肛門に近いほうのみを検査するS状結腸内視鏡検査という方法もあります。しかし、あくまで下血などの緊急検査や肛門~直腸・S状結腸病変のフォローに限定した適応になります。

 

★苦痛の少ない大腸カメラ挿入法を施行しております。

 当クリニックでは、検査の負担を軽減し精度を高めるため、最新の高画質と硬度可変機能(それぞれの患者の大腸の状態に応じて内視鏡の硬さを自由に調整できる機能)を持つオリンパス社製の細経・高解像度スコープPCF-Q260AI(外径11.3mm)を検査に使用しています。検査中の疼痛は危険信号であり、危険信号を鎮静剤で鈍らせるのは場合によって検査のリスクを高める結果となります。当クリニックでは、先端キャップを用いた無送気軸保持短縮法による苦痛の少ない大腸内視鏡検査を実施しています。腸管内への空気の注入を最小限に抑え大腸を直線化しながら内視鏡を挿入するため、鎮静剤・鎮痛剤を一切使用せずに苦痛の少ない、比較的短時間に終了する大腸カメラを施行しております。ただし、極度に緊張される方やおなかの手術後の癒着が強くどうしても痛みの強い方は、必要に応じて鎮静剤を使用いたします。消化器内視鏡検査は数年前に比べて極めて楽に受けられるようになり、現在も進化し続けています。大腸内視鏡検査については、診断と治療が一度にできるという点で画期的な検査方法といえます。これから胃や大腸に関しては、より小さな病変を、より早期に診断と治療ができるように、今後はがん検診を含めて内視鏡検査が主流になると考えられます。内視鏡検査は、消化器内視鏡専門医がいて設備を整えている医療機関で受けてください。

 

★大腸癌は若い世代に増えている

 大腸のポリープは前癌病変(将来、癌になるリスクが高い病変)の可能性があります(胃のポリープとは異なります)。大腸がんの90%が大腸ポリープから多段階的に遺伝子の変異が起こり発癌することがわかっており、この前癌病変である大腸ポリープを切除することは、癌の発症リスクを取り除き大腸癌を予防できるわけです。ただし、ごく一部の症例でポリープのような段階を経ずにいきなり発癌をきたすこともあり、1cm以下の小さな病変でも進行癌のことがあります。症状はほとんどなく、大腸内視鏡検査でしか見つけられない病態です。大腸癌の場合、遺伝要因がかなり疑われていますので、血縁で3親等以内に大腸癌の方がいらっしゃる人は、 40歳を過ぎたら毎年の便潜血検査は当然ですが、定期的(2~3年毎)に内視鏡検査をしたほうが良いと考えられます。実際、アメリカの大腸癌に関するホームページでは

● Preventable 予防可能
● Treatable 治療可能
● Beatable 克服可能

と掲載されています。定期的な内視鏡検査で大腸癌の予防・治療・克服が可能となります。

 
★大腸内視鏡検査を受けていただきたい方

● 大腸がんを疑う症状のある方(血便、下血、便通異常など)
● 便潜血検査(大腸がん検診など)陽性の方
● 以前、がんになったことのある方(大腸がん以外のがんも含みます)
● 以前、大腸ポリープがあった方
● 胃ポリープや、胆のうポリープが多発している方
● がん家系の方
● 血縁者の中に大腸がんにかかった人がいる方
● 潰瘍性大腸炎、クローン病の方
● 痔のある方

★大腸内視鏡検査と同時にポリープ切除を希望される方へ

 大腸内視鏡検査と同時にポリープの切除を希望される場合は、検査前に同意書が必要となります。また、ポリープ切除後は1週間ほど飲酒や運動や旅行を控える必要があります。抗凝固剤、抗血小板剤などの血液をさらさらにする薬剤を内服中の方は、これらの薬剤を、ポリープ切除前後の1週間ほど中止する必要があります。主治医とこれらの薬剤の中止について相談が必要となります。(休薬リスクの高い方は、ポリープ切除をせずに抗血小板剤や抗凝固剤を継続したままでスクリーニング検査として観察のみ実施することも可能です。)5mm未満の小さなポリープは鉗子による生検で摘除可能ですが、5mm以上のポリープについては高周波電流による粘膜切除が必要となります。当クリニックでは日帰りのポリープ切除術を施行しております。一度に切除できる個数は大きさにより異なります。また、非常に大きい病変の場合や癌の合併を疑う場合は、治療の安全性と確実性を確保するために病理検査(生検)を実施するにとどめ、必要な情報(悪性度などの病理所見)を得たうえで内視鏡治療(切除可能かどうか)の適応を判断し、入院治療が必要な場合は連携病院に紹介することがあります。 実際に、大腸の癌病変やポリープの治療には、以下に述べる3つの方法があり、病変の大きさ、深さ、悪性度などにより適応が判断されます。


1)内視鏡で切除する方法(病変が粘膜内にとどまっているもの)
大部分のポリープは粘膜内にとどまっているため、内視鏡によるポリープ切除ができます。大腸の病変粘膜のみを切除するため、もっとも患者さんに負担の少ない治療法で、内視鏡検査と同時に実施できます。

2)腹腔鏡を用いて大腸の一部を切除する方法
明らかな転移のない比較的早期の大腸癌(粘膜より深く浸潤している病変)や内視鏡切除が困難な大きなポリープの治療に有効です。小さな傷ですみ、術後の負担も軽く入院期間の短縮ができます。腹腔鏡手術についてはできる病院が限定されるので医師に相談してください。

3)おなかをあけて大腸を切除する従来の手術
確実に広範囲な切除が可能です。ただし、手術の切開創は大きく、1)や2)に比べて体の負担や術後の影響が残ります。

★生命保険手術給付金について

 大腸ポリープ粘膜切除は「手術」としてあつかわれますので各種医療保険の手術給付金の対象となっています。加入されている方はご相談ください。ただし、鉗子によるポリープの生検は手術には該当しませんのでご注意ください。

大腸内視鏡検査とは

★検査までの準備

医師の問診と採血を行います。また普段飲んでいる薬があれば必ず申し出てください。医師から検査の説明を受けた後、検査予定日を決めて同意書にサインをしていただきます。看護師より検査前の食事の制限や下剤および常用薬の服用のしかたの説明を行います。


1)大腸内視鏡検査に備えて、次の検査を行います。 ・採血検査:検査による感染を予防するためB型およびC型肝炎ウイルス、梅毒に感染していないか調べます。半年以内に感染症の検査を受けていれば省略できます。基礎疾患や体調によって必要な場合は血液検査、レントゲン検査や心電図などの検査を適宜行います。
・出血時間:生検(粘膜の一部を鉗子で採取すること)やポリープ切除によって、予想外の出血がおきる体質ではないか耳たぶで調べます。
 血を固まりにくくしたり、血を止まりにくくする(サラサラにする)お薬を服用されている方は、しばらくの間(薬によって休薬期間が異なります)お薬を休薬して内視鏡検査をする必要がありますので、定期内服薬のある方は処方内容ないしは飲んでいるお薬を持参して医師か看護師にお知らせ下さい。

2)大腸内視鏡検査は、大腸の中の便を全部出して空っぽにしないと検査ができません。腸内を洗浄するための前処置をスムーズに行うために、食事の内容に注意し前日夜に下剤(ラキソベロン5ml)を飲んで頂きます。海草類やナッツ類、きのこ類といった食物繊維や種を含む野菜や果物は、十分に消化されず腸内に残りカメラを詰まらせるので1~2日前から控えてください。また、炒め物や揚げ物などの油ものも、カメラの視野を悪くするので同様に控えてください。前日は消化の良いものにして、水分を十分取ってください。なお、頑固な便秘やお腹の痛みや張った感じがひどく吐き気がする場合は問診のときに医師や看護師に伝えて下さい。

★検査当日

1.当日持参するもの
● 診察券・保険証・お金
● 普段飲んでいる薬 
● お茶(水やスポーツドリンクでもOK);500ml(ペットボトル) 
● シャワーの準備(バスタオル+普通タオル、下着、洗面用具など)

 朝の9時に来院していただき、それから2時間かけて腸管洗浄剤(ニフレックないしマグコロールP)約2リットルを飲みます。2リットルというと多くて飲めないと思われるかもしれませんが、10分ごとにコップ1杯(180ml)を飲めばよいのです。飲み始めてからおよそ1時間後から下痢が始まります。飲み終わったあとも何回か下痢をします。便がうす黄色の水のようになれば前処置はうまくできたことになります。前処置がうまくいかない場合は、浣腸や洗腸処置が追加されますのでご了承ください。当クリニックでは前処置を専用の部屋でゆったりリラックスして行ってもらっています。専用のウオシュレット付きのトイレおよびシャワーを完備していますので換えの下着やバスタオルなどをお持ちください。忘れずに、500ccのお茶か水をご持参ください。

  内視鏡検査は前処置の状態によってですが、午後から開始となります。
やなぎ内科クリニックでは、大腸内視鏡検査中に切除した方がよいと思われるポリープなどが見つかった場合は、その場で内視鏡的ポリープ切除術の日帰り手術を行います。費用は、大腸内視鏡検査のみの場合は、3割負担の方で8000円~1万円前後、ポリープ切除を行った場合は、2万円~3万円前後となります。


2.内視鏡検査の実際
 内視鏡検査の直前に肛門部だけ穴があいた検査用のズボンに履き替えて頂きます。そのあと、検査台の上に横になって頂きます。検査の前に腸の動きを止めるためのお薬を注射します。この注射の影響で一時的に目がチカチカしたり、口が渇いたり、動悸がしたりします。また、検査後に尿が出にくくなったり、血糖値に影響が出ることがあります。心臓病、前立腺肥大、緑内障、糖尿病などをお持ちの方はあらかじめ主治医か看護師にお知らせ下さい。
 検査医が肛門より内視鏡を挿入し検査が始まります。大腸は長さが約150cmぐらいですが、アコーディオンのように80cmぐらいに縮めて、大腸の奥まで挿入します。その時に、内視鏡が入りやすいように、お腹を押さえたり、体の向きを変えてさせていただきます。検査中の痛みについては、ほとんどないか腸が突っ張る感じがするだけの方が多いですが、手術などの影響でお腹の中で腸がゆ着している場合には痛みを感じる場合もあります。その場合でも痛みが最小限になるよう検査をしますので、苦痛があれば遠慮なく検査医に伝えて下さい。 盲腸まで内視鏡が入ってから観察を始めます。腸のしわを伸ばすために空気を入れるのでお腹が張った感じがします。おならがしたくなったら、送気した空気ですから気にしないで出してください。検査は概ね15分から30分ぐらいで終わります。ポリープの切除をする場合はもう少し時間がかかります。ほとんどの場合、鎮静剤(眠たくなる注射)や鎮痛剤(痛み止め)の注射は検査に必要がないので使用しませんが、患者さんの状態によっては検査中に使う場合があります。この場合は検査のあとしばらく休んでいただきます。
 大腸ポリープにはいろいろなものがありますが、大きさが5mm以上のポリープは癌を含んでいたり、放置すると大きくなったりすることがあります。5mm以上のポリープがみつかった時にはその時点で高周波電流で安全に粘膜ごと切除をします。ポリープ切除は痛くありません。ただし、ポリープ切除した場合は終了当日の食事は水分のみで、翌日も腸に負担のかからない食事(ポリエクトミール)を取っていただきます。合併症予防の食事療法と経過観察が約一週間必要になります。病変によって出血のリスクが高い場合は、連携病院に2~3日入院していただくこともあります。合併症をできるだけ予防するため、当クリニックではポリープ切除した傷口を小さな金属のクリップで閉じます。もし、観察のみで生検やポリープ切除を拒否される方は検査の前に必ず医師か看護師にお知らせ下さい。

★大腸内視鏡検査とポリープ切除の合併症(偶発症)

 大腸内視鏡検査は基本的には安全な検査ですが、まれに合併症が生じる場合があります。合併症には検査に用いる下剤や薬が原因の場合と、内視鏡検査そのものやポリープ切除によるものがあります。
 最近の全国調査によると大腸内視鏡検査の合併症の頻度は0.04%(1万件に4件の割合)で、ポリープ切除による合併症は0.15%(1万件に15件の割合)です。そのほとんどが出血と穿孔(腸に穴があくこと)です。そのほか、使った薬に対するアレルギーやもともとの持病(心臓病や脳梗塞など)と関係した合併症もありますので、検査前に薬のアレルギー体質や持病を医師(あるいは看護師)に必ず告げて下さい。万が一合併症が起きた場合、入院や緊急の処置・手術が必要になることがあります。

★検査後、とくにポリープを切除された方への行動・注意事項

● おなかが張って来ますので、ガスをどんどん出してください。時間を追って楽になります。
● 検査当日はいろいろな薬を使う可能性がありますので、車は検査後2時間は運転しないでください。
● 検査後、まず水を少し飲んでみて、気分が悪くならなければ食事しても結構です。
● 生検やポリープ切除をした方は、医師の指示により7日間は消化の良い食事をしてください。刺激物、脂っこいもの、アルコール類(飲酒)は避けてください。
● 便に少量の血が付く程度なら心配いりませんが、出血症状(血便や下血)や貧血症状(立ちくらみ、めまい、動悸、冷や汗)が出現した場合、腹痛や発熱が続く場合はやなぎ内科クリニック:TEL.(076)277-6200(24時間対応)へ至急連絡してください。
● 検査当日の激しい運動はおやめください。また、お風呂もサウナや長風呂を避け、シャワー程度が無難です。
● 病理検査の結果は後日となりますので、次回診察日を看護師にご確認ください。
● ポリープ切除後7日間は、激しい運動や宴会などは控え、長期旅行や出張をさけて下さい。この間は、排便時に必ず便を観察してください。

★大腸内視鏡検査の間隔は?

  当院では40歳を過ぎた方はできるだけ大腸がん検診(便潜血検査2日法)を毎年受けるようお勧めしています。ただし、大腸ポリープができやすい方や大腸癌の既往歴がある方、大腸癌の家族歴がある方については1~2年に1回の大腸内視鏡検査をお勧めしています。症状がなく家族歴も既往歴もない方でも、50歳を過ぎたらぜひ機会があれば大腸内視鏡検査をお勧めします。そのような方は3~5年に1回の内視鏡検査で良いかもしれません。
 また、大腸ポリープや早期大腸癌の内視鏡治療を受けた場合は、フォローのための内視鏡検査を医師と相談の上、適宜受けてください(3~12ヶ月後)。

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