胃内視鏡検査を希望される方へ
胃内視鏡検査を希望される方へ
当クリニックでは、オリンパス社製の細径胃内視鏡を用い消化器内視鏡ガイドラインに沿って苦痛のない安全かつ確実な胃内視鏡検査を実施しています。 胃内視鏡検査を希望される方は、できるだけ検査前の受診および検査予約をお勧めしますが、やむをえない場合は、当日絶食で来ていただければ十分な説明と同意の下で随時胃内視鏡検査を実施致します。緊急以外は、予約患者さんを優先させていただきますので、混んでいる場合は少しお待ちいただくことになりますのでご了承ください。 当クリニックでは、月曜日から土曜日までの祝日以外の診療日の午前中は、緊急を含めいつでも検査可能な体制をとっています。ただし、基礎疾患を持っている方や定期的にお薬を内服している方については、薬の種類によっては休薬を必要としたり、入院をしたうえで検査することが望ましいこともありますので、即日検査できないことや観察のみで生検による病理検査ができないこともありますのでご了承ください。できれば、当日でも結構ですので電話連絡などで来院前に医師かスタッフにご相談ください。
胃内視鏡検査での鎮静剤使用についてのご案内
内視鏡検査が患者の利益と安全を確保するように努力することが内視鏡専門医の役割であり、正確な診断、適切かつ安全な検査・治療を提供することはもちろんですが、苦痛のない楽な内視鏡検査を実施することが検査に対するアクセスを容易にし検査の質も高め患者に大きな利益をもたらすと考えられます。これまで、鎮静剤を使用せずに検査を遂行することが優れた消化器内視鏡医の証であると考える風潮が背景にあり、地域的に保険診療として認めない(石川県は一部しか認めないため医療機関の負担となります)事情があります。鎮静剤は、内視鏡検査に慣れている方や咽頭・嘔吐反射がひどくない方は、必ずしも必要な薬ではありません。鎮静剤を使うと体の緊張がとれてリラックスした状態となり検査を楽にする効果があり、また検査医にとっても内視鏡操作を落ち着いて実施でき診断や治療に有用です。そのため鎮静剤使用は、欧米はもとよりわが国の消化器内視鏡学会のガイドラインでも既に認められています。当クリニックでは、上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)において、ご希望される患者さんにはガイドラインに沿って必要に応じて安全に鎮静剤を使用していきます。ただし、基礎疾患(慢性呼吸不全などの方)やアレルギー既往のある場合に使用できないこともありご了承ください。下記の注意事項や副作用を理解した上で、ご希望される場合は医師・看護師に申し出てください。
★鎮静剤使用時の注意事項・副作用
検査後も眠気が続いたり、ふらついたり、一時的に記憶がなくなることがあります。また、意識がはっきりしていても、身体能力が低下していることがあります。このため、検査後2時間程度のあいだ当クリニックのベッドで休んでいただきます。検査当日は車、バイク、自転車などの運転はしないでください。大事なお仕事や危険を伴う作業も控えてください。 まれな副作用としては、アレルギーや血圧低下、呼吸抑制(呼吸停止)、注射した部位の血管痛や血管炎などがありえます。 不明な点は係の看護師か医師におたずね下さい。
★鎮静の安全確保に対する当クリニックのポリシー
内視鏡検査において効果と安全面から最も適度な鎮静状態は「意識下鎮静」です。「意識下鎮静」とは、名前を呼ばれたらうつろながらも返事ができる鎮静状態です。当クリニックでは、この「意識下鎮静」となるような鎮静剤の量を調整して使用しています。しかし、薬剤の効果や副作用には個人差があり、人によっては効果が弱く感じたり、逆に麻酔が深すぎる場合もあります。また、その日の体調によっても効果は変わります。そのため、当クリニックでは、消化器内視鏡ガイドラインに沿って鎮静剤を投与した患者さんは全て検査中および終了後も呼吸循環動態をモニターし安全を確保しています。当院では細径の内視鏡を用い、鎮静剤には通常ドルミカムという薬剤を年齢や体重などに応じて使用します。これは、従来の薬剤に比べて半減期が短く、麻酔の影響が長時間残る可能性が低い薬剤です(高齢者には、一般的なホリゾンを使用します)。また、鎮静剤を用いる場合は、咽頭麻酔は簡略化でき苦痛もありません。将来的には、患者負担の軽減につながる経鼻内視鏡の導入も検討中ですが、現状ではスクリーニング検査が適応の主であること、また診断や治療の機能において通常の経口内視鏡に比べやや劣る点があることなどから、今後さらに機種の開発が進むまで導入を見合わせています。
胃内視鏡検査とは
★胃内視鏡検査(胃カメラ)とは
胃の内視鏡検査では、食道から十二指腸上部まで観察できます。 そのため食道疾患・胃疾患・十二指腸と、膵管胆管の開口部の疾患を診断することができます。また内視鏡によって早期胃癌・ポリープなどの小さい病変は切除が可能です。
★胃内視鏡検査(胃カメラ)の対象になる方
胸焼け、胸のつかえ・痛みなど 食道の症状の方、上腹部の痛み、吐き気・嘔吐、食欲不振の胃腸症状がある方、胃の検診で精密検査の指示をうけた方が対象です。 検査当日は、胃腸の動きを止める薬や麻酔薬などいろいろな薬を使う可能性があります。検査の安全性を高めるため、検査前には以下のような項目について質問されるかと思います。また各項目に心あたりがありましたら積極的にお申し出ください。
●歯の治療で麻酔の注射(キシロカイン)で具合が悪くなったことがあるか
●血の止まりにくい薬を飲んでいるかた(基礎疾患によりますが、ワーファリン、バッファリンなど担当主治医と相談して休薬リスクを評価したうえで休薬が難しい場合は、まず内服継続したままで、生検をしない観察のみのスクリーニング検査を実施します)
●高血圧の薬を飲んでいるか
●おなかの手術を受けた方や人工透析中の方
●不整脈、狭心症、心筋梗塞、その他の心臓の病気といわれたことがあるか
●緑内障といわれたことがあるか
●前立腺肥大があるか
●糖尿病でインスリンを使用しているか
●睡眠薬、精神安定剤を服用しているか
●ぜんそくやアレルギー体質の方
●以前に内視鏡検査を受けたとき嘔吐反射がひどく苦しかった方
★上部消化管内視鏡検査の偶発併症
貧血や腹痛の原因を調べるため、食道・胃・十二指腸に発生した潰瘍、炎症、腫瘍、ポリープなどを診断するために行います。その際、組織検査のため病変の一部を摘みとってくることがあります(生検といいます)。万が一、出血、穿孔(穴があくこと)、ショックなどの合併症が生じた場合、入院や緊急の処置・手術が必要になることがあります。出血、穿孔などの発生頻度は全国集計(1998年から2002年の5年間)で0.012%(8333人に1名の割合)でした。当クリニックは、緊急偶発症に対して、地域連携病院(金沢赤十字病院、松任中央病院、済生会金沢病院、石川県立中央病院など)に後方支援をお願いしております。
★胃内視鏡検査の受け方
胃の内視鏡検査では、検査前にノドの局所麻酔薬と鎮静剤を使用します。 鎮静剤によって不安と苦痛が緩和され、検査中の記憶が残りにくくなります。 検査は熟練した医師が行うと通常5~6分で終了します。 これまでの検査が苦しかった方、のどが敏感でむせやすい方は、鎮静剤を使用することもできますので申し出てください。
1.検査前日のご注意
前日の夕食は、消化の良いもので午後9時までに軽めに済ませてください。飲酒をさけ睡眠は十分にとった方が楽に受けられます。寝る前に水分を普通にとってください。
2.検査当日のご注意
●朝食は食べずに絶飲食としてください。どうしても喉が渇いている場合は、少量の水またはスポーツドリンク程度にしてください(50~100cc程度)。お茶などのペットボトルをご持参ください。
●検査中の顔色を観察しますので化粧はできるだけ避けて、口紅も取ってください。
●衣服は、脱ぎやすく体を締めないゆったりした普段着がいいでしょう。タオルをご持参ください。
●たばこは、検査当日は吸わないでください。
●(定期の)内服薬については、自己判断せずに事前にかかりつけ医と相談してください。血液をサラサラにする抗凝固剤や抗血小板剤などについては検査前に約1週間の休薬期間が必要になります。
3.検査中のご注意
●検査は思ったより楽に終わります。検査中は体の力をぬいて医師や看護師の指示にしたがってください。
●処置室でノドの麻酔をします。麻酔薬(キシロカイン)入りのシャーベットを舐めてもらいます。
●検査室に入り、はずせる入れ歯やコルセット、ガードル、腹巻ははずしていただきます。
●検査台に横になってからノドに麻酔薬のスプレーをしマウスピースを口にはめて、胃の緊張をとる注射をします。鎮静剤の使用を希望される方は、このとき同時に注射します。検査終了後1~2時間ベッドで寝ていただく必要があります。
●ご自分の胃液や唾液で衣服がぬれる場合もありますのでご了承ください。
●出血など緊急を要する場合はその場で処置をすることがあります。
●検査の内容により順番が入れ替わることがありますが、しばらくリラックスしてお待ちください。
●内視鏡(スコープ)はムリに飲み込もうとせず、医師の指示に従って軽い気持ちで飲み込みます。咽喉を通ったら、ゆっくり静かに鼻から息を吸って口から息を吐くようにして「腹式呼吸」をすると、検査は楽に受けられます。全身の力を抜いてゆったりした気持ちで受けましょう。検査は5~10分間で終わります。また、検査中、口の中に溜まった唾液は飲み込もうとせず出してください。
★検査後のご注意
●検査後2~4時間は、危険な作業や乗り物・機械などの運転はしないでください。
●検査後の食べ物は、消化のよくない物やこってりした食べ物をさけて、 消化のよい煮物・和食・麺類などにしてください。
●検査を受けた日は、遠出・運動をさけて静かな生活を過ごしてください。
その他ご質問は当院受付へご相談下さい。
★胃内視鏡検査で見つかる主な病気
1.慢性胃炎
主にピロリ菌のよって引き起こされる胃炎で俗に言う「胃が荒れた」状態をさしています。胃炎が長く続くと胃癌が発生する可能性が高くなります。とくに、慢性萎縮性胃炎と診断された方は、年1回の内視鏡検査による胃癌のスクリーニング検査が必要です。
2.胃ポリープ
大腸ポリープと異なり、大部分は良性で安全です。しかし、一部の特殊なポリープや大きなものや出血を伴うものは内視鏡による切除が必要になります。良性で安全なポリープかどうかは生検による病理検査が確実であり内視鏡にて専門医に判断してもらいましょう。
3.胃・十二指腸潰瘍
胃・十二指腸潰瘍の原因は大部分ピロリ菌が関係しています。
潰瘍を根本的に治すためにはピロリ菌の除菌が必要です。
4.逆流性食道炎
胃の内容物(主に胃酸)が食道に逆流するために起こる食道の炎症です。胸やけや胸痛などの症状があり、高齢化や食事の欧米化などにより、日本でも非常に多い病気であることが分かってきました。食道がんのリスクとなり、生活習慣の改善や胃酸を抑える薬の服用が必要になります。
5.胃癌
胃癌は、慢性萎縮性胃炎をベースに発生することが多いとされています。
ピロリ菌陽性の方は、陰性の場合よりかなり胃癌になる確率が高くなります。定期的(年一回程度)の胃カメラ検査をお勧めします。粘膜内にとどまる早期胃がんについては、内視鏡にて癌部の粘膜を切除して治療することができます。ただし、入院が必要です。
6.食道がん
食道がんは、たばこを吸っている男性に多く、また熱い食べ物が好きな方にも発生しやすいとされています。最近、欧米型の食道がんの発生が専門家の注目をあつめています。逆流性食道炎が発癌頻度を上げることが報告されています。